語彙が豊かな子はなぜ「賢い」と言われるの?語彙が育てる6つの力

「言葉をたくさん知っている子は賢い」

「語彙が豊かな子は、勉強にも強い」

そんな話を聞いたことはありませんか?

確かに、子どもがたくさんの言葉を知ることは、これからさまざまなことを学んでいくうえで大切です。

でも、「難しい言葉をたくさん知っている=頭が良い」という単純な話ではありません。

語彙が豊かになることの大きな意味は、知っている言葉の数が増えることだけではなく、

  • 理解する
  • 考える
  • 伝える
  • 気持ちを整理する

といったことが、少しずつしやすくなっていくことにあります。

言葉は、誰かと話すためだけのものではありません。

自分が見たことや経験したことを理解したり、「どうしてだろう?」と考えたり、自分の気持ちを整理したりするためにも使われています。

つまり語彙は、子どもがこれからさまざまなことを学び、人と関わっていくための「考えるための道具」でもあるのです。

今回は、語彙が豊かになることがなぜ「賢さ」につながると言われるのか、わかりやすく解説します。


「語彙が豊か」とは?

語彙が豊かというと、「難しい言葉をたくさん知っている」というイメージを持つかもしれません。

しかし、大切なのは難しい言葉を言えることだけではありません。

たとえば、「嫌だった」という気持ち一つをとっても、

  • 「悲しかった」
  • 「悔しかった」
  • 「寂しかった」
  • 「恥ずかしかった」
  • 「怖かった」
  • 「がっかりした」
  • 「本当は仲間に入れてほしかった」

など、さまざまな表現があります。

自分が感じていることに合った言葉を選べるようになると、「私は何が嫌だったんだろう?」と、経験をより細かく捉えられるようになります。

つまり語彙が豊かになるということは、単に「知っている単語が多い」ということではありません。

自分が見たこと、聞いたこと、考えたこと、感じたことを、より細かく理解したり表現したりするための言葉を持っていることでもあるのです。

語彙が豊かになることで育つ6つの力

語彙が豊かになると、身につくことを6つご紹介します。

  • 理解する力
  • 考える力
  • 伝える力
  • 気持ちを整理する力
  • 自分の考えをより細かく言葉にする力
  • 分からないことを質問する力

1.「理解する力」につながる

私たちは、さまざまなことを言葉を通して理解しています。

たとえば、

「こぐまは大切なおもちゃをなくして、悲しくなりました。そこで、森の中を探しに行きました」

という文章があったとします。

  • 「大切」
  • 「なくす」
  • 「悲しい」
  • 「探す」

といった言葉の意味が分かれば、「大切なおもちゃをなくして悲しくなったから、探しに行ったんだ」と、物語の内容や出来事のつながりまで理解できます。

一方、知らない言葉がたくさん含まれていると、文章そのものを理解することが難しくなります。

これは絵本だけではありません。

学校へ行くようになると、国語だけでなく、算数の文章問題、理科の説明、社会の資料、先生からの説明など、さまざまな場面で言葉を使います。

つまり、言葉を理解できることは、新しいことを理解するための入り口になるのです。


2.「考える力」につながる

言葉は、誰かに話すためだけではありません。

私たちは物事を考えるときにも、さまざまな言葉を使っています。

たとえば、

  • 「同じ」
  • 「違う」
  • 「似ている」
  • 「なぜ」
  • 「だから」
  • 「もし」
  • 「たとえば」
  • 「原因」
  • 「結果」

といった言葉があります。

こうした言葉を使えるようになると、「AとBは違う」だけではなく、

  • 「AとBは似ているけれど、ここが違う」
  • 「どうして違うんだろう?」
  • 「もしかしたら○○だからかな?」

と、考えを広げることができます。

言葉が増えることで、

  • 比べる
  • 分ける
  • 理由を考える
  • 順番を考える
  • 予想する

といったこともしやすくなっていきます。

つまり語彙は、物事について深く考えるための「道具」にもなるのです。


3.「伝える力」につながる

小さな子どもは、自分の中にたくさんの思いや考えを持っています。

でも、それを表す言葉がまだ見つからないことがあります。

たとえば、子どもが遊びを途中で終わらせることになって、「イヤ!」と泣いたとします。

その「イヤ!」の中には、

  • 「まだ遊びたかった」
  • 「せっかく作ったものを壊したくなかった」
  • 「急に終わりと言われて嫌だった」
  • 「もっと一緒に遊びたかった」

など、さまざまな思いが隠れているかもしれません。

言葉が増えていくと、

  • 「まだ遊びたかった」
  • 「これを完成させてから終わりたかった」

と、少しずつ自分の思いを具体的に伝えられるようになります。

すると周りの大人も、「そうか。まだ遊びたかったんだね」と、その子の気持ちを理解しやすくなります。

語彙が豊かになることは、自分の考えを相手に届けるための選択肢が増えることでもあるのです。


4.「気持ちを整理する力」につながる

子どもは、大人が思っている以上にたくさんの感情を持っています。

でも、気持ちは目には見えません。

しかも、

「悲しい」

「悔しい」

「寂しい」

「不安」

「恥ずかしい」

「怖い」

など、さまざまな感情があり、子どもにとって、「自分が今、何を感じているのか」を理解することは簡単ではありません。

たとえば友達に遊びを断られて、子どもが怒っていたとします。

最初は、

  • 「むかつく!」
  • 「嫌い!」

としか言えないかもしれません。

でも、大人との関わりや絵本などを通して感情を表す言葉に出会っていくと、

  • 「本当は一緒に遊びたかった」
  • 「断られて寂しかった」
  • 「仲間に入れてもらえなくて悲しかった」

と、自分の気持ちを少しずつ捉えられるようになります。

「怒っている」という大きな感情の中から、「私は寂しかったんだ」と気づける。

言葉を知ることは、こうして自分の気持ちを整理する手助けにもなります。


5.自分の考えをより細かく言葉にできるようになる

たとえば、子どもに「今日どうだった?」と聞いたとします。

使える言葉がまだ少なければ、「楽しかった!」で終わるかもしれません。

もちろん、それでも十分です。

でも、少しずつ言葉が増えていくと、

  • 「初めてできたから、うれしかった」
  • 「最初は怖かったけど、やってみたら楽しかった」
  • 「負けて悔しかったけど、もう一回やりたい」

など、経験をより細かく振り返ることができるようになります。

これは単に「上手に話せるようになった」というだけではありません。

自分の経験を細かく捉え、それについて考えられるようになっているとも考えられます。

言葉が増えることで、「楽しい」だけだったものが、

  • 「なぜ楽しかったのか」
  • 「どんなところが楽しかったのか」
  • 「もう一度やりたいのか」

と、考えを深められるようになっていくのです。


6.分からないことを質問しやすくなる

学ぶためには、「知っていること」だけでなく、「分からないことを伝える力」も大切です。

  • 「ここが分からない」
  • 「どうしてこうなるの?」
  • 「これは○○と何が違うの?」
  • 「もう一度説明して」

こうした言葉が使えると、自分から誰かに尋ねることができます。

分からないことをそのままにせず、人に聞いたり調べたりする。

その経験が、さらに新しい言葉や知識との出会いにつながっていきます。

つまり語彙は、すでに知っていることを表現するためだけではなく、これから新しいことを学ぶためにも使われているのです。


「語彙が多い=賢い」ではない

語彙が豊かになることで、

  • 理解する
  • 考える
  • 伝える
  • 気持ちを整理する
  • 自分の考えを言葉にする
  • 分からないことを質問する

といったことがしやすくなるため、「賢さ」につながる一つの土台になると考えられます。

しかし、「語彙が多い子=頭が良い子」と決めつけることはできません。

子どもの賢さには、いろいろな形があります。

  • よく観察できる子
  • 工夫することが得意な子
  • 人の気持ちによく気づく子
  • 体を動かしながら覚えることが得意な子
  • 何度失敗しても試してみる子
  • 絵や音楽で自分を表現することが得意な子

言葉だけで、その子の持っている力のすべてを測ることはできません。

だからこそ、「言葉をたくさん知っているから賢い」というより、「言葉は、その子が持っている力を使うための大切な道具の一つ」と考えるとよいでしょう。


語彙は「考えるための道具箱」

語彙について考えるとき、「道具箱」をイメージすると分かりやすいと思います。

子どもの中に、

  • 「悲しい」
  • 「悔しい」
  • 「寂しい」
  • 「似ている」
  • 「違う」
  • 「なぜ?」
  • 「もし○○だったら?」

といった言葉が少しずつ増えていく。

それは、考えるときに使える道具が、一つずつ道具箱に入っていくようなものです。

道具が増えれば、

  • 「私はどう感じているんだろう?」
  • 「どうしてこうなったんだろう?」
  • 「この二つは何が違うんだろう?」
  • 「どう伝えたら分かってもらえるだろう?」

と考えるときに、使えるものも増えていきます。

だから大切なのは、難しい言葉を早く覚えさせることではありません。

日々の会話や遊び、絵本などを通して、さまざまな言葉と自然に出会っていくことなのです。


絵本は「考えるための言葉」と出会える場所

子どもがさまざまな言葉と自然に出会えるものの一つが絵本です。

絵本には、物の名前だけでなく、「うれしい」「悲しい」「悔しい」「寂しい」といった感情を表す言葉や、「どうして?」「このあとどうなる?」と考えるきっかけになる場面がたくさんあります。

さらに、絵と物語があるため、知らない言葉でも、「こんな意味なのかな?」と想像することができます。

絵本を読みながら、

  • 「この子、どうして泣いているんだろう?」
  • 「本当はどんな気持ちだったのかな?」
  • 「このあとどうなると思う?」

と会話することもできます。

だから絵本は、単に「語彙を増やすための教材」ではありません。

言葉を知り、その言葉を使って感じたり、考えたり、誰かに伝えたりする経験ができる場所なのです。


まとめ

語彙が豊かになると「賢さ」につながると言われるのは、難しい言葉をたくさん知っているからではありません。

言葉が増えることで、

  • 人の話や文章を理解しやすくなる。
  • 物事について細かく考えやすくなる。
  • 自分の考えを相手に伝えやすくなる。
  • 自分の気持ちを整理しやすくなる。
  • 分からないことを質問できるようになる。

こうしたことが、少しずつしやすくなるからです。

だから、「語彙が増える=賢くなる」と考えるよりも、「語彙が豊かになることで、理解する・考える・伝えるための道具が増えていく」と考えるほうが分かりやすいでしょう。

子どもにとって言葉は、誰かと話すためだけのものではありません。

自分の中にある、

  • 「どうして?」
  • 「私はこう思う」
  • 「本当は悲しかった」
  • 「もっと知りたい」

を形にするためのものでもあります。

だからこそ、子どもの語彙を育てるときに大切なのは、難しい言葉をたくさん覚えさせることではありません。

日々の会話や絵本を楽しみながら、「こんな言葉もあるんだ」と、一つひとつ言葉と出会っていくこと。

その積み重ねが、いつか子どもが自分で理解し、自分で考え、自分の言葉で誰かに伝えていくための、大切な力になっていくのです。

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yumenoは、ユメノの名で絵本を制作しています。

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🌿ことのはうさぎの ひとこと🌿

言葉は、きみの中にある思いを、外の世界へ届けてくれる小さな道具なんだ。

「どうして?」と考えるときも、「わかった!」と気づくときも、「伝えたい」と思ったときも、
きっと、きみを助けてくれるよ。

yumeno

元保育士/ブロガー/絵本作家

短大(保育科)を卒業後、保育園や院内保育所、夜間託児所を経験。さまざまな保育現場で子どもたちの心に寄り添いながら関わってきました。

現在は保育士としての経験をもとに、オリジナル絵本を制作しています。このブログでは、絵本をより深く楽しんでいただけるよう、絵本のテーマを保育の視点からわかりやすく解説したブログを発信しています。

このブログが、子どもはもちろん、大人にとっても心を見つめ直すきっかけとなり、穏やかで心温かな繋がりが広がっていくよう願っています。

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ユメノのオリジナル絵本は、「ことのはうさぎのものがたり」シリーズの他にドラゴンシリーズもあります。
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