怒って解決する人と、怒らずに解決する人の違いとは?子どもにも伝わる関わり方を元保育士が解説

「どうしてあの人はすぐ怒るんだろう?」
「同じ出来事なのに、冷静に話せる人もいるのはなぜ?」
同じ出来事でも怒って解決する人と、怒らずに解決する人がいます。その違いは何でしょうか?
この記事では、
・怒って解決する人と怒らずに解決する人の違い
・怒ると相手が一時的に動く理由
・怒らずに伝えるために必要なこと
・子どもや家族に伝わりやすい具体的な方法
について、分かりやすく解説します。
最後まで読んでいただけると幸いです。
怒って解決する人とは?
怒って解決する人とは、困ったことが起きたときに、強い口調や大きな声によって、相手の行動を変えようとする人です。
例えば、子どもがおもちゃを片づけないときに、「何回言ったら分かるの!」と怒鳴ったとします。
子どもは驚いて、すぐに片づけるかもしれません。その場だけを見ると、問題が解決したように見えます。
しかし、子どもが片づけた理由は、「怒られるのが怖かったから」かもしれません。
この場合、子どもは大人が見ているときには行動しても、見ていないところでは同じことを繰り返す可能性があります。
また、怒られることに慣れると、さらに強く言われなければ動かなくなることもあります。
怒りによって相手を動かす方法には、即効性があるように見えます。
しかし、必ずしも問題の根本的な解決につながっているとは限りません。
怒らずに解決する人とは?
怒らずに解決する人は、怒りを感じても、相手を怖がらせることを目的にしません。
まず、
- 「何が起きているのか」
- 「なぜうまくいかないのか」
- 「何を伝える必要があるのか」
を考えます。
先ほどのおもちゃの片づけであれば、
「もうすぐご飯だから、使ったおもちゃを箱に戻そう」と、してほしいことを具体的に伝えます。
子どもが遊びに夢中で切り替えられないのであれば、
「あと一つ遊んだら片づけよう」「車と積み木、どちらから片づける?」と、見通しや選択肢を示すこともできます。
怒らずに解決する人は、相手をすぐに従わせることよりも、
- 「相手が何につまずいているのか」
- 「どうすれば次にできるようになるのか」
を考えています。
これは、何でも優しく許すことではありません。
必要な場面では、
- 「叩くのは止めます」
- 「その言い方は受け入れられません」
とはっきり境界線を示します。
声を荒らげなくても、大切なことはきちんと伝えられるのです。
怒って解決する人と怒らずに解決する人の6つの違い
両者の違いは、怒りを感じるかどうかではありません。
怒りを感じたあとに、何を見て、どのような行動を選ぶかが異なります。
怒って解決する人と怒らずに解決する人の違いは6つあります。
- 「言うことを聞かせる」か「必要なことを伝える」か
- 相手の「結果」だけを見るか「理由」まで考えるか
- 人格を責めるか、行動について伝えるか
- 過去までまとめて責めるか、今の問題に絞るか
- 感情をすぐにぶつけるか、伝えるタイミングを選ぶか
- 一方的に答えを出すか、一緒に次の方法を考えるか
1.「言うことを聞かせる」か「必要なことを伝える」か
怒って解決する人は、相手を自分の思いどおりに動かすことを優先しやすい傾向があります。
- 「今すぐやって」
- 「私の言うとおりにして」
という気持ちが強くなり、相手の事情や気持ちに目を向ける余裕がなくなります。
一方、怒らずに解決する人は、相手を従わせることよりも、必要なことを理解してもらうことを大切にします。
例えば、子どもが公園から帰りたくないとき、「いい加減にしなさい。もう帰るよ!」と怒って連れて帰ることもできます。
しかし、怒らずに解決する人は、「まだ遊びたかったね。でも、帰る時間になったよ」と、子どもの気持ちと守るべき約束の両方を伝えます。
子どもの希望どおりにする必要はありません。
気持ちは受け止めながら、必要な境界線を示すことが大切です。
2.相手の「結果」だけを見るか「理由」まで考えるか
怒って解決する人は、目の前の行動だけを見て判断することがあります。
子どもが片づけないと、「言うことを聞かない」と考えます。
しかし、その背景には、
- 遊びを終わらせたくない
- 片づけ方が分からない
- 量が多くて一人では難しい
- 急に言われて気持ちを切り替えられない
といった理由があるかもしれません。
一方、怒らずに解決する人は、「なぜできないのだろう」と考えます。
理由が分かれば、
- 「一緒に片づけよう」
- 「大きい物から戻そう」
- 「あと5分で片づけるよ」
など、具体的な方法を考えられます。
大人同士でも同じです。
約束を守らなかった相手に対して、すぐに責めるのではなく、まず事情を確認します。
ただし、事情を理解することと、何度も約束を破ることを許すことは別です。
理由を聞いたうえで、「事情は分かったけれど、次からは連絡してほしい」と必要なことを伝えます。
3.人格を責めるか、行動について伝えるか
怒っていると、相手の人格を責める言葉が出やすくなります。
- 「あなたはいつもそう」
- 「本当にだめな子」
- 「自分勝手な人だね」
など。
しかし、このような言葉を向けられると、相手は問題となった行動よりも、自分自身を否定されたと感じます。
その結果、「自分はどうせだめだ」と落ち込んだり、「そっちだって悪い」と反発したりします。
一方、怒らずに解決する人は、相手そのものではなく、そのときの行動について伝えます。
「あなたは乱暴な子」ではなく、「叩くと相手が痛いから、叩くのは止めよう」と伝えます。
大人同士であれば、「あなたは無責任」ではなく、「連絡なしに予定が変わると困ります」と伝えます。
何が問題なのかを具体的にすると、相手も直すべきことを理解しやすくなります。
4.過去までまとめて責めるか、今の問題に絞るか
怒りが大きくなると、過去の不満まで思い出すことがあります。
- 「前もそうだった」
- 「いつも何もしてくれない」
- 「何度言っても変わらない」
と、これまでの出来事をすべて持ち出したくなることもあるでしょう。
しかし、多くの問題を一度に責められると、相手は何について話しているのか分からなくなります。
一方、怒らずに解決する人は、今起きている問題に絞って伝えます。
- 「今、おもちゃを投げたことについて話しているよ」
- 「今日は連絡がなくて心配したことを伝えたい」
というように、話の範囲を明確にします。
繰り返し起きている問題であっても、「遅れるときに連絡がないことが続いているので、今後の方法を決めたい」と、責めるのではなく話し合う形に変えます。
5.感情をすぐにぶつけるか、伝えるタイミングを選ぶか
怒って解決する人は、怒りを感じた瞬間に言葉をぶつけてしまうことがあります。
感情が大きいときには、
- 「もう知らない」
- 「勝手にすれば」
- 「あなたなんて嫌い」
など、本当は言いたくなかった言葉まで出てしまうことがあります。
一方、怒らずに解決する人は、怒りが強すぎるときには、すぐに話さない選択をします。
「今は落ち着いて話せないから、少し時間を置きたい」と伝え、一度その場を離れます。
これは、怒りを我慢して逃げることではありません。相手を傷つけないために、話すタイミングを選んでいるのです。
子どもに対しても、大人が感情的になっているときには、「今、少しイライラしているから、落ち着いてから話すね」と伝えることができます。
ただし、危険な行動や暴力がある場合は、話し合いを待つのではなく、まず行動を止めて安全を確保します。
6.一方的に答えを出すか、一緒に次の方法を考えるか
怒って解決する人は、
- 「次から絶対にしないで」
- 「言われたとおりにしなさい」
と、一方的に結論を伝えがちです。
しかし、相手がなぜその行動をしたのか、どこで困ったのかが分からなければ、同じことが繰り返されることがあります。
一方、怒らずに解決する人は、
- 「次はどうしたらよいと思う?」
- 「何があればできそう?」
- 「お互いに困らない方法を考えよう」
と、一緒に解決策を探します。
子どもが友達を叩いてしまった場合も、「もう叩かないと約束しなさい」だけで終わらせるのではなく、
- 「嫌だったとき、次は何て言おうか」
- 「先生を呼ぶこともできるよ」
と、別の方法を伝えます。
解決とは、その場で行動を止めるだけではありません。次に同じことが起きたときに、違う行動を選べるようにすることです。
怒ると「解決したように見える」理由
大きな声で怒ると、相手はその場で行動を止めることがあります。
そのため、怒ることには効果があるように感じます。
しかし、相手が行動を変えた理由が、
- 怖かったから
- 責められたくなかったから
- 早くその場を終わらせたかったから
であれば、問題の意味を理解したとは限りません。
特に子どもは、大人との力の差が大きいため、怖さから従うことがあります。
しかし、大人の見ていない場所では同じ行動をしたり、自分より弱い相手に同じような怒り方をしたりすることもあります。
子どもは、大人に言われた内容だけでなく、大人が問題をどのように解決したかも見ています。
大人が怒鳴って相手を動かしていると、子どもも、「思いどおりにならないときは、大きな声を出せばよい」と覚えることがあります。
だからこそ、大人が落ち着いて伝え、話し合い、必要な境界線を示す姿を見せることが大切です。
怒らずに解決することは、何でも許すことではない
怒らずに解決すると聞くと、
- 「優しく言うだけでは、子どもは分からない」
- 「相手になめられてしまう」
- 「結局、我慢することになるのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、怒らないことと、曖昧にすることは違います。
怒鳴らなくても、
- 「道路に飛び出すのは危険だから止めます」
- 「叩くことは許しません」
- 「その言い方は受け入れられません」
- 「これ以上は引き受けられません」
とはっきり伝えることができます。
大切なのは、声の強さではなく、言葉の明確さです。
優しい声であっても、毎回言うことが変われば、相手はどこまでが守るべき線なのか分かりません。
反対に、落ち着いた声でも、一貫して境界線を伝えれば、その真剣さは伝わります。
怒らずに解決するための5つのステップ
怒りを感じたときは、次の順番で考えると、伝えたいことを整理しやすくなります。
- 今の自分の感情に気づく
- 起きた出来事を具体的に整理する
- 自分がどう感じたかを伝える
- 何をしてほしいのかを具体的に伝える
- 必要なら一緒に方法を考える
1.今の自分の感情に気づく
まずは、「私は今、怒っている」と自分の状態に気づきます。
怒りの奥には、
- 悲しかった
- 困っている
- 疲れている
- 大切にしてほしかった
- 分かってほしかった
という気持ちがあるかもしれません。
怒りだけでなく、その奥の気持ちが分かると、相手に何を伝えたいのかが見えやすくなります。
2.起きた出来事を具体的に整理する
「あなたはいつも自分勝手」というように人格を責めるのではなく、何が起きたのかを整理します。
- 「連絡なしに帰宅時間が変わった」
- 「子どもがおもちゃを投げた」
など、事実に絞りましょう。
3.自分がどう感じたかを伝える
相手を主語にするのではなく、自分の気持ちを主語にします。
「あなたが悪い」ではなく、
- 「私は心配した」
- 「私は悲しかった」
- 「私は一人で抱えているように感じた」
と伝えます。
4.何をしてほしいのかを具体的に伝える
怒りだけを伝えても、相手はどうすればよいのか分からないことがあります。
- 「遅れるときは連絡してほしい」
- 「使ったおもちゃを箱に戻してほしい」
- 「大きな声ではなく、落ち着いて話してほしい」
というように、具体的な希望を伝えましょう。
5.必要なら一緒に方法を考える
一度伝えても難しい場合は、相手に合った方法を一緒に考えます。
子どもには、
- 「一人で片づけるのは大変だった?」
- 「どちらからならできそう?」
と聞くことができます。
家族には、「どう分担すれば続けられそう?」と話し合うことができます。
一方だけが我慢するのではなく、お互いに続けられる方法を考えることが大切です。
子どもに伝わりやすい声かけ例
片づけをしないとき
怒る伝え方:
「何回言ったら片づけるの!」
伝わりやすい伝え方:
「ご飯の時間になるから、車を箱に戻そう。積み木は一緒に片づけようか」
友達を叩いたとき
怒る伝え方:
「叩くなんて悪い子!」
伝わりやすい伝え方:
「取られて嫌だったんだね。でも、叩くと痛いよ。次は『返して』って言おう」
公園から帰りたがらないとき
怒る伝え方:
「もう知らない。置いていくよ!」
伝わりやすい伝え方:
「まだ遊びたかったね。あと一回滑ったら帰ろう」
飲み物をこぼしたとき
怒る伝え方:
「何しているの! ちゃんと持ちなさい!」
伝わりやすい伝え方:
「こぼれたね。一緒に拭こう。次は両手で持ってみよう」
大人同士で使える伝え方
家事や育児の負担が偏っているとき
怒る伝え方:
「どうして私ばかりやらなきゃいけないの!」
伝わりやすい伝え方:
「家事と育児を一人で抱えているように感じて、疲れています。夕食後の片づけをお願いしたいです」
約束を守ってもらえなかったとき
怒る伝え方:
「あなたは本当に無責任だね!」
伝わりやすい伝え方:
「連絡なしに予定が変わると心配します。遅れると分かった時点で連絡してほしいです」
強い言葉を向けられたとき
怒る伝え方:
「そっちだって同じでしょう!」
伝わりやすい伝え方:
「その言い方をされると傷つきます。落ち着いて話せるときに話したいです」
それでも怒ってしまったときはどうする?
落ち着いて伝えようと思っていても、怒ってしまうことはあります。
同じことを何度も繰り返し伝えなければならない場面や疲れている時など余裕がないときには、つい大きな声が出ることもあるでしょう。
大切なのは、怒ってしまった自分を責め続けることではありません。
言いすぎたと感じたときには、
- 「さっきは大きな声で言ってごめんね」
- 「伝えたかったのは、おもちゃを投げると危ないということだよ」
と伝え直しましょう。
大人同士でも、「強い言い方をしてごめんなさい。ただ、約束が守られなくて困っていることは話し合いたいです」と、言い方と問題を分けて伝えることができます。
謝ることは、伝えたかった内容を取り消すことではありません。
不適切だった言い方について謝り、必要なことを改めて伝えればよいのです。
怒らずに解決する人も、最初からできたわけではない
落ち着いて伝えられる人を見ると、「もともと穏やかな性格だからできるのだろう」と思うかもしれません。
しかし、怒らずに解決する力は、日々の経験の中で身につけていくことができます。
最初から完璧に言葉にできなくても、「今、私は何に怒っているのかな」と立ち止まることから始められます。
そして、
- 「何が嫌だったのか」
- 「どうしてほしかったのか」
を短い言葉にしてみましょう。
言葉にできない場合、気持ちを代弁してもらい、別の伝え方を教えてもらうことで、少しずつ言葉で解決する方法を学びます。
怒りを感じたあとに、どのような言葉を選ぶかは、少しずつ変えていくことができます。
まとめ
怒って解決する人と怒らずに解決する人の違いは、怒りを感じるかどうかではありません。
怒りを感じたあとに、相手を怖がらせて動かそうとするのか、それとも問題を整理して必要なことを伝えようとするのかという違いです。
怒って解決する人は、
- 相手をすぐに動かそうとする
- 目の前の行動だけを見る
- 人格や過去まで責めやすい
- 感情をその場でぶつける
- 一方的に答えを出す
傾向があります。
一方、怒らずに解決する人は、
- 必要なことを具体的に伝える
- 行動の背景を考える
- 人格ではなく行動について話す
- 伝えるタイミングを選ぶ
- 次にできる方法を一緒に考える
ことを大切にします。
怒らずに解決することは、何でも許したり、自分だけが我慢したりすることではありません。
必要なときには、
- 「それは危険だから止めます」
- 「その言い方は受け入れられません」
- 「私はこうしてほしいです」
とはっきり伝えます。
怒りは、なくさなければならない感情ではありません。
- 「何が嫌だったのか」
- 「何を大切にしたかったのか」
- 「本当はどうしてほしかったのか」
を教えてくれる感情でもあります。
怒りを相手にぶつけるのではなく、必要なことを言葉に変えて伝える。
その姿を見せることで、困ったことが起きたときに怒鳴るのではなく、話し合いながら解決する方法を学んでいくのです。
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🌿ことのはうさぎのひとこと🌿
「おこりは、“こころを まもりたい”っていう しずく。
でもね、ことばに できたとき、
そのしずくは やさしい ひかりに かわっていくんだよ。」
yumeno
元保育士/ブロガー/絵本作家
短大(保育科)を卒業後、保育園や院内保育所、夜間託児所を経験。さまざまな保育現場で子どもたちの心に寄り添いながら関わってきました。
現在は保育士としての経験をもとに、オリジナル絵本を制作しています。このブログでは、絵本をより深く楽しんでいただけるよう、絵本のテーマを保育の視点からわかりやすく解説したブログを発信しています。
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