【0歳から大人まで解説】「ありがとう」を言えない理由と関わり方

「ありがとう」を、本当は伝えたかったのに、恥ずかしかったり、タイミングを逃してしまったりして言えなかったことはありませんか?

「ありがとう」は、年齢とともに、感じ方や伝え方は少しずつ変わっていきます。
その時期に合った関わり方を知ることで、無理なく自然に「ありがとう」が育っていきます。

この記事では、「ありがとう」を言えない理由と関わり方を、年齢別に解説します。ぜひ、最後まで読んでくれると幸いです。

「ありがとう」を言えなかったときの基本の関わり方

誰かに何かをしてもらったのに、「ありがとう」を言わなかった。

そんなとき、「ありがとうは?」と、つい言いたくなることもあるでしょう。

もちろん、「何かをしてもらったら感謝を伝える」ことも大切です。

しかし、「ありがとう」という言葉を言うことだけに意識が向いてしまうと、本来の気持ちが置き去りになってしまうことがあります。

大切なのは、「ありがとうと言えたか」だけを見るのではなく、そのとき何を感じていたのかを見ることです。

  • 「うれしかった」
  • 「助かった」
  • 「安心した」
  • 「やさしくしてもらえてうれしい」

こうした気持ちが、感謝の言葉の土台になります。

そのため、「ありがとう」が言えなかったときの基本的な関わり方は、まず「言葉」を求めるのではなく、相手の気持ちに寄り添うことです。

基本となるポイントは3つです。

  • 「言えなかったこと」を責めない
  • すぐに言うことを急がせない
  • 気持ちを代わりに言葉にしてあげる

① 「言えなかったこと」を責めない

「どうしてありがとうが言えないの?」などと責められると、意識は「感謝」ではなく、

  • 「怒られた」
  • 「恥ずかしい」
  • 「早くこの場から逃げたい」

という気持ちに向いてしまいます。

すると、「ありがとう」が感謝を伝える言葉ではなく、怒られないために言わなければならない言葉になってしまうことがあります。

もちろん、礼儀を教える必要がないということではありません。

「こういうときは『ありがとう』って伝えると、相手もうれしいよ」と教えることは大切です。

ただし、「言えなかった=悪い子」と結びつけないことがポイントです。


② すぐに言うことを急がせない

相手が「ありがとう」を言わないとき、必ずしも感謝していないとは限りません。

突然話しかけられて緊張したり、恥ずかしかったり、知らない人を前にして言葉が出なかったりすることもあります。

特に幼い子どもは、感じたことをすぐに整理して言葉にすることがまだ難しい時期です。

そんなときは、「今すぐ言いなさい」と急がせるより、

  • 「うれしかったね」
  • 「あとでありがとうって伝えてもいいよ」

と、少し時間を与えてあげましょう。

少し時間を与えて気持ちが落ち着くことで、言葉になることもあります。


③ 気持ちを代わりに言葉にしてあげる

まだ自分の気持ちをうまく言葉にできない時には、言葉を添えてあげることも大切です。

たとえば、子どもがおもちゃを拾ってもらったとき、

  • 「拾ってもらえて、うれしかったね」
  • 「見つかってよかったね」

と伝えます。

そして必要であれば、「拾ってくださって、ありがとうございます」と相手に伝えてもよいでしょう。

これは代わりにすべてを済ませてしまうというより、「こういう気持ちは、こういう言葉で伝えられるんだよ」と見せるお手本にもなります。

こうした経験を重ねながら、少しずつ、

「うれしい」

「してもらってうれしかった」

「ありがとうと伝えよう」

と、感情と言葉を結びつけていきます。

【年齢別】「ありがとう」を言えなかった時の関わり方

年齢別に「ありがとう」を言えなかった時の関わり方を解説していきます。

0〜2歳ごろ

0~2歳は、まだ言葉よりも「気持ち」を感じている時期です。

声かけ

・「たすけてもらって、うれしかったね」
・「よかったね、やさしくしてもらったね」

など、まずは子どもが感じていることを簡単な言葉にしてあげましょう。

関わり

代わりに「ありがとう」と伝えてあげましょう。この時期は、大人がお手本を見せることが大切です。

子どもが何かを受け取ったら、「うれしいね。ありがとうだね」と言ったり、

「ありがとうございます」と大人が代わりに伝えたりします。

「ほら、ありがとうって言って!」と無理に言わせるよりも、日常の中で大人自身が「ありがとう」をたくさん使っている姿を見せていきましょう。

子どもは周囲の大人の言葉ややり取りを見ながら、少しずつ、「何かをしてもらったときには、ありがとうって伝えるんだ」と学んでいきます。


3〜4歳ごろ

3~4歳は、言葉が増え、自分の気持ちも少しずつ表現できるようになる時期です。

しかし、

  • 「うれしい」
  • 「恥ずかしい」
  • 「ありがとうと言いたいけど緊張する」

といった複数の気持ちを整理して言葉にすることは、まだ難しいことがあります。

たとえば、お友達からプレゼントをもらって、本当はうれしいのに黙ってしまうことがあります。

これは「うれしくない」のではなく、うれしさと恥ずかしさが一緒になって、言葉が出なくなっているのかもしれません。

声かけ

  • 「ほんとは“ありがとう”って言いたかったかな?」
  • 「うれしかったね」
  • 「もらえてよかったね」
  • 「ちょっと恥ずかしかったかな?」

など、子どもの気持ちを決めつけない程度に、言葉を添えてあげましょう。

関わり

「言えなかったこと」ではなく、気持ちがあったことを大切にしてあげましょう。

  • 「うれしかったんだね」
  • 「大事に持っているね。うれしかったのかな」

と、まずその子の中に生まれた気持ちを受け止めます。

そのうえで、「うれしかったときは『ありがとう』って言ってもいいんだよ」

と教えていきます。

5〜6歳ごろ

5~6歳は、気持ちと言葉がつながりはじめる時期です。

「うれしかったからありがとうと言う」という、気持ちと言葉のつながりが少しずつ理解できるようになります。

一方で、

  • 「恥ずかしい」
  • 「みんなに見られている」
  • 「今さら言うのは嫌だ」

といった気持ちも強くなってきます。

そのため、この時期からは大人が代わりに全部伝えるだけではなく、子ども自身がどう伝えるかを考える機会を作ってあげるとよいでしょう。

声かけ

  • 「うれしかった?」
  • 「どんな気持ちだった?」
  • 「あとでありがとうって伝えてみる?」
  • 「どんなふうに言いたい?」
  • 「一緒に言ってみる?」

関わり

「今すぐ言う」など無理に言わせるのではなく、自分で選べるようにサポートしましょう。

たとえば、

  • 「あとで伝える?」
  • 「お手紙にする?」
  • 「お母さんと一緒に言う?」

と方法を考えることもできます。

大切なのは、「ありがとうを言わされた経験」ではなく、「自分で伝えようと思って伝えた経験」を増やしていくことです。

自分で選んで伝えられたときには、「ちゃんとありがとう言えたね!」だけではなく、「うれしかった気持ち、伝えられたね」と、その気持ちにも注目してあげましょう。

小学生(7〜12歳ごろ)

小学生は、気持ちと言葉を自分で結びつける時期です。「ありがとう」の意味を理解し始めています。

しかし、

  • 「恥ずかしい」
  • 「素直になるのが嫌」
  • 「相手との関係が気になる」
  • 「みんなの前では言いたくない」

など、照れやプライドで言いにくいこともあります。

また、親から、「ありがとうは?」と言われることで、「今言おうと思っていたのに!」と反発してしまうこともあります。

声かけ

  • 「どんな気持ちだった?」
  • 「してもらってどう思った?」
  • 「伝えるとしたら、どんな言い方がいいかな?」
  • 「あとから伝える方法もあるよ」

関わり方

この時期は、大人が答えを先に言うのではなく、子ども自身に考えてもらうことが大切です。

たとえば、「何て言えばいいの?」ではなく、「○○してもらったとき、どう感じた?」と聞いてみます。

「うれしかった」と答えたら、「そうだったんだね。その気持ちを伝えるとしたら、どんな言葉がいいかな?」とつなげていきます。

こうしたやり取りを通して、自分の気持ちに気づく→言葉を選ぶ→相手に伝えるという経験を積んでいきます。

これは「ありがとう」だけでなく、「ごめんね」「悲しかった」「嫌だった」など、自分の気持ちを言葉にする力にもつながっていきます。

思春期(中学生〜高校生)

思春期は、気持ちを内側に持ちながら葛藤する時期です。素直に言うのが難しくなりますが、内面ではしっかり感じています。

一方で、「親に言われたからやる」ということへの抵抗感も強くなる時期です。

本当は感謝していても、

  • 「ありがとうなんて改まって言うのは恥ずかしい」
  • 「今さら言えない」
  • 「親に言われたから言ったと思われたくない」

という気持ちから、素直に言葉にできないことがあります。

声かけ

  • 「あのとき、助かったよね」
  • 「うれしかったんじゃないかな」
  • 「伝えたいと思ったら、あとからでも大丈夫だよ」

この年代では、「ちゃんとお礼を言いなさい」と強く促すよりも、本人が感じていることを尊重しながら、必要なときにさりげなく伝え方を示してあげるほうがよいでしょう。

関わり方

思春期では、「ありがとう」という言葉以外で感謝を表していることもあります。

たとえば、

  • 相手を手伝う。
  • もらったものを大切に使う。
  • あとからメッセージを送る。
  • いつもより少し優しく接する。

そんな行動に気持ちが表れていることもあります。

もちろん、社会の中では言葉で感謝を伝えることも大切です。

そのため、「言わなくてもいい」とするのではなく、「どう伝えるかは自分で考えていい」と少しずつ本人に任せていくことが大切です。

🌼 大人

大人は、気持ちを選んで伝える時期です。伝えたい気持ちはありますが、タイミングや関係性を考えて言えないことがあります。

  • 「今さら恥ずかしい」
  • 「改まって言うのは照れくさい」
  • 「どんな反応をされるか怖い」
  • 「関係が変わりそうで不安」
  • 「ありがとうだけでは足りない気がする」

など、相手との関係を深く考えるからこそ生まれる迷いもあります。

そんなときに大切なのは、「あのとき言えなかった」と自分を責め続けることではなく、「私は本当は何を伝えたかったんだろう」と自分の気持ちを見つめることです。

  • 「助けてもらえてうれしかった」
  • 「そばにいてくれて安心した」
  • 「本当はずっと感謝していた」

その気持ちに気づいたら、今から伝えても遅くありません。

伝え方

  • 「さっきはありがとう」
  • 「この前は助かったよ」
  • 「あのとき、本当にうれしかった」
  • 「今さらなんだけど、ちゃんと伝えたくて」
  • 「あのとき言えなかったけど、ありがとう」

関わり方(自分への関わりも含めて)

どうしても直接伝えられない場合は、メッセージや手紙にしたり、まず自分の中で気持ちを整理したりする方法もあります。

大切なのは、「言えなかったから、感謝していなかった」と考えないこと。

言葉にできなかった「ありがとう」も、あなたの中に確かにあった大切な気持ちです。

そして、今その気持ちに気づいたのなら、「あのとき言えなかった」ではなく、「今ならどう伝えたい?」と、自分に問いかけてみてもいいのではないでしょうか。

🌼 まとめ

どの年齢でも大切なのは、「言葉の前に、気持ちがある」ということ。

「ありがとう」が言えないときも、その人の中には必ず、

・うれしい
・助かった
・大切に思っている

という気持ちがあります。その一方で、

・恥ずかしさ
・緊張
・どう言えばいいか分からない不安

が隠れていることがあります。そのため、

・「なんで言えないの?」
・「ちゃんとしなさい」
・「ありがとうは言うもの」

こうした言葉は、不安にさせたり、言葉が出にくくなることがあります。

「ありがとう」は、無理に言わせるものではなく、教えるものというより、育っていくものです。

🌿 気づく
🌿 感じる
🌿 少しずつ言葉になる

そんなふうにゆっくり育っていくものです。

言えなかったその瞬間も、心の中にはちゃんと気持ちが残っています。その気持ちに寄りそいながら、少しずつ言葉にしていく経験が、やさしい心を育てていきます。

だからこそたいせつなのは、まずは「言葉」ではなく、気持ちに寄りそうことです。

~絵本の紹介~

ことのはうさぎのものがたりー4巻ー ありがとうのしずくがとどくとき

ユメノオリジナル絵本『ことのはうさぎのものがたり-4巻-』~ありがとうのしずくがとどくとき~が、AmazonのKindle版で販売中です。「ありがとう」を言えなかったひつじの子とそれを見守る、ことのはうさぎの物語。

「ありがとう」を言えなかったひつじの子は、胸の奥に残ったありがとうの気持ちが、やがて“しずく”となり、やさしい光へと変わっていきます。

この物語は、

・言えなかった気持ちも大切にしていいこと
・気持ちはちゃんと残っていること
・あとからでも伝えていいこと

「言えなかった自分を責めなくていい」そして「その気持ちは、きっと届く」
そんなメッセージを、お子さまから大人の方までお届けします。


・子どもに「気持ちを伝える大切さ」をやさしく伝えたい方
・感情表現が苦手なお子さまに寄り添いたい方
・心がほっとする絵本を探している方
・大人になっても「言えなかった気持ち」を抱えている方

そんな方に手に取ってもらいたい絵本になっています。

ぜひ、興味のある方は、読んでみてくださいね!

yumenoの活動について

yumenoは、ユメノの名で絵本を制作しています。

ユメノのオリジナル絵本はこちら⬇

※こちらのリンクは、このブログ以外に運営しているブログです。絵本関連のお知らせなどがあれば、更新します。よかったら、こちらのブログも遊びにきてくださいね!

🌿ことのはうさぎの ひとこと🌿

「だいじょうぶ。その“ありがとう”、

 ちゃんとひかりになってとどいているよ。」

yumeno

元保育士/ブロガー/絵本作家

短大(保育科)を卒業後、保育園や院内保育所、夜間託児所を経験。さまざまな保育現場で子どもたちの心に寄り添いながら関わってきました。

現在は保育士としての経験をもとに、オリジナル絵本を制作しています。このブログでは、絵本をより深く楽しんでいただけるよう、絵本のテーマを保育の視点からわかりやすく解説したブログを発信しています。

このブログが、子どもはもちろん、大人にとっても心を見つめ直すきっかけとなり、穏やかで心温かな繋がりが広がっていくよう願っています。

~姉妹ブログの紹介~
ユメノのオリジナル絵本は、「ことのはうさぎのものがたり」シリーズの他にドラゴンシリーズもあります。
姉妹ブログであるyumeno国で紹介していますので、興味がありましたら、こちらもお立ち寄りください。

また、他のオリジナル絵本も制作する予定ですので、お楽しみに!

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