- 「叱ってはいけない。」
- 「とにかく褒めれば自己肯定感は育つ。」
最近、このような言葉を耳にすることが増えました。もちろん、子どもを否定したり、怒鳴ったりすることは望ましくありません。
しかし、「まったく叱らないこと」や「褒めるだけ」で、本当に子どもの心は健やかに育つのでしょうか?
実は、自己肯定感を育てるために大切なのは、「叱るか・褒めるか」という二択ではありません。
子どもの脳が安心して成長できる環境と適切な関わり方こそが、自己肯定感の土台になります。
この記事では、
- 叱ると子どもの脳では何が起きるのか
- 褒めるだけでは自己肯定感が育ちにくい理由
- 本当に自己肯定感を育てる親の関わり方
について、わかりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んでいただけると幸いです。
自己肯定感とは「自信」とは違う
まず知っておきたいのは、自己肯定感と自信は同じではないということです。
自信とは、
- 「できる。」
- 「成功した。」
という経験によって高まります。
一方で、自己肯定感とは、
- 「失敗しても私は大丈夫。」
- 「できない日があっても価値は変わらない。」
と感じられる心の土台です。
この土台は、幼い頃から周囲との関わりの中で少しずつ育っていきます。
叱られると脳では何が起きるの?
子どもが強く叱られると、脳ではまず扁桃体が反応します。
扁桃体は危険や恐怖を察知する「警報装置」のような役割を持っています。
怒鳴られたり、強い口調で責められたりすると、扁桃体は、「危険だ!」と判断し、体を守ろうとします。
すると、
- 心拍数が上がる
- ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌される
- 身体が緊張する
といった反応が起こります。
これは命を守るためには必要な仕組みですが、この状態では学習や考える力は働きにくくなります。
前頭葉は「学ぶ脳」
前頭葉には、
- 感情をコントロールする
- 相手の気持ちを考える
- 「次はこうしよう」と反省する
といった大切な役割があります。
しかし、強い恐怖やストレスを感じている間は、前頭葉の働きが低下します。
そのため、怒鳴られている最中の子どもは、反省しているように見えても、実際には、
- 「怖い」
- 「早く終わってほしい」
と感じていることが少なくありません。
つまり、恐怖だけでは「なぜいけなかったのか」を深く理解し、学ぶことは難しいと考えられています。
叱ってはいけないのか?
答えは「いいえ」です。
子どもには、
- 人を傷つけてはいけないこと
- 命に関わる危険な行動を避けること
- 社会のルールを身につけること
を学ぶ機会が必要です。
大切なのは、感情的に怒ることと、落ち着いて伝えることを区別することです。
例えば、
- 「道路には飛び出してはいけないよ。」
- 「人を叩くと相手が痛いから、やめようね。」
このように行動を止めることは、子どもの安全や社会性を育てるためにかかせません。
一方で、
- 「なんでそんなこともできないの!」
- 「あなたは本当にダメね。」
と人格を否定する言葉は、自己肯定感を傷つけやすくなります。
叱るべきなのは「行動」であって、「子ども自身」ではありません。
褒めるだけでは自己肯定感が育たない理由
褒めることは、とても大切です。
しかし、褒め方によっては逆効果になることがあります。
例えば、
- 「すごいね!」
- 「天才!」
- 「一番だね!」
という結果だけを褒め続けると、
子どもは、「成功したときだけ認められる。」と感じやすくなります。
その結果、失敗を恐れるようになったり、人と比べるようになったりすることがあります。
自己肯定感を育てる褒め方
近年の発達心理学では、結果よりも努力や過程を認めることが大切だと考えられています。
例えば、
- 「最後まで頑張ったね。」
- 「工夫していたね。」
- 「昨日よりできるようになったね。」
- 「挑戦したことが素敵だったよ。」
このような言葉は、「努力すれば成長できる。」という感覚を育み、自分自身を肯定する気持ちにつながりやすいと考えられています。
自己肯定感を育てる3つの関わり方
自己肯定感を育てるための関わり方を3つご紹介します。
- 安心できる居場所をつくる
- 感情を受け止め、行動を教える
- 親も失敗していい姿を見せる
1.安心できる居場所をつくる
自己肯定感は、「ありのままの自分でも受け入れてもらえる」という安心感から育ちます。
失敗しても、「大丈夫。また一緒に考えよう。」と言ってもらえる経験は、子どもの心の土台になります。
2.感情を受け止め、行動を教える
「怒るんじゃない!」ではなく、「悔しかったんだね。」と気持ちを受け止めたうえで、
「でも、人を叩くのはやめよう。」と伝えることで、子どもは感情と行動を切り分けて考えられるようになります。
これは感情をコントロールする力を育てる大切な関わり方です。
3.失敗しても大丈夫だと伝える
- 親が「ごめんね」と言う
- 親も失敗する姿を見せる
- 一緒にやり直す
このような姿は、子どもにとって大きな学びになります。
完璧な親よりも、失敗しても立ち直る姿を見せることが、子どもの自己肯定感を支えることがあります。
まとめ
子どもの脳は、安心できる環境の中で最も力を発揮しながら成長していきます。
強い恐怖や怒鳴り声は、一時的に行動を止めることはできても、学びや自己肯定感を育てるとは限りません。
一方で、「褒めるだけ」で自己肯定感が育つわけでもありません。
大切なのは、
- 良い行動はしっかり認める
- 危険な行動は落ち着いて止める
- 子どもの気持ちを受け止める
- 失敗しても価値は変わらないことを伝え続ける
こうした日々の積み重ねが、「どんな自分でも大丈夫」と思える心を育てていきます。
自己肯定感は、一つの言葉や一度の褒め方で育つものではありません。
毎日の安心できる関わりの中で少しずつ育まれ、子どもが将来、困難に直面したときにも、自分を信じて一歩を踏み出す力となっていくのです。
| 🌿ことのはうさぎの ひとこと🌿 「自己肯定感は、たくさん褒められたから育つものではないんだ。 『できても、できなくても大丈夫。あなたは大切な存在だよ。』そんな安心を何度も受け取りながら、少しずつ育っていくんだよ。」 |

ことのはうさぎのものがたり-2巻- ひとつだけのやさしいこえ


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