なぜ実験でネズミが使われる？実験でネズミが使われる科学的理由5つ

医療や薬の開発、脳の研究、心理学の実験など、科学の最前線では「ネズミ（マウスやラット）」が頻繁に登場します。
「どうしてネズミなの？」「なぜ他の動物ではないの？」と疑問に思ったことはありませんか？

今回は、なぜネズミが科学実験で選ばれるのか、その理由をわかりやすくご紹介します。

実験でねずみが使われる理由

実験でねずみが使われる理由は、５つあります。

1. 人間と驚くほど似た遺伝子を持っている
2. 繁殖が早くて、世代交代もスピーディー
3. 体が小さくて飼育しやすい
4. 多くの研究データが蓄積されている
5. 遺伝子改変がしやすい

1. 人間と驚くほど似た遺伝子を持っている

実は、ネズミと人間は遺伝子の約95〜98％が共通しています。
そのため、ヒトの病気・薬・行動の研究において、ネズミはとても優れた「モデル生物」なのです。

特に、がん・糖尿病・認知症・精神疾患などの疾患研究では、遺伝子や脳の機能が近いため、ネズミの実験結果が人間の医療に大きく役立っています。

2. 繁殖が早くて、世代交代もスピーディー

ネズミは生後6〜8週で繁殖が可能になり、約3週間で子どもを出産します。1度に産む子の数も多いため、短期間でたくさんのデータを集めることができます。

これにより、遺伝や病気の世代間の影響をすぐに観察できるという大きなメリットがあります。

3. 体が小さくて飼育しやすい

ネズミは体重20～30g程度と軽く、飼育に場所を取らず、コストも低いという特徴があります。
実験室でも数十〜数百匹の管理がしやすく、扱いが簡単なことから、多くの研究施設で導入されています。

4. 多くの研究データが蓄積されている

マウスやラットは、100年以上にわたり研究に使われてきた動物です。
そのため、過去の膨大なデータと照らし合わせることで、新たな実験結果の妥当性や再現性が検証しやすいのです。

つまり「比較しやすく、科学的に信頼できる」生物なのです。

5. 遺伝子改変がしやすい

近年では、**特定の遺伝子を欠損・追加したマウス（トランスジェニックマウス）**の作成が技術的に可能になりました。

これにより、たとえば「がんになりやすい遺伝子を持つマウス」などを人工的に作り出し、薬の効果や副作用を検証できるようになっています。

まとめ：ネズミは“科学の小さなヒーロー”

ネズミはその小さな体で、現代の医療や科学の発展に大きく貢献してくれています。
私たちが受けている治療や薬の多くも、この小さな命の積み重ねの上に成り立っているのです。

医学や心理学、脳科学などの研究現場で頻繁に使われる実験動物「ネズミ（マウスやラット）」。
私たちが普段何気なく享受している医療の進歩も、実はこの小さな生き物の存在なしには語れません。