今回は子どものアレルギーの中でも多く見られる「牛乳アレルギー(乳アレルギー)」についてお話しします。
牛乳や乳製品は私たちの食生活に欠かせない存在ですが、アレルギーを持つ子にとっては注意が必要な食材です。正しい知識をもとに、安心・安全な食生活をサポートしましょう。
牛乳アレルギーとは?
牛乳アレルギーとは、牛乳に含まれるたんぱく質(カゼイン、ホエイなど)に対して免疫が過剰に反応してしまう状態です。発症は乳児期が多く、早ければ生後数ヶ月から症状が出ることもあります。
どんな症状が出るの?
摂取後すぐ~数時間以内に次のような症状が見られることがあります:
- 皮膚:じんましん、湿疹、赤み、かゆみ
- 消化器:嘔吐、下痢、腹痛
- 呼吸器:せき、ぜん鳴(ぜいぜい)、呼吸困難
- 重度の場合:アナフィラキシーショック(急激な全身反応)
「うちの子、ミルクを飲むと湿疹が出る」と感じたら、医師に相談しましょう。
診断と検査方法
病院では、主に以下の検査を組み合わせて診断を行います。
- 血液検査(特異的IgE抗体検査): 牛乳たんぱく質に対する特異的なIgE抗体の量を血液中で測定します。抗体量が多いほどアレルギーの可能性が高まりますが、必ずしも症状の重症度と一致するわけではありません。
- 皮膚プリックテスト: 牛乳エキスを皮膚にごく少量つけ、針で軽く刺激して反応を見る検査です。皮膚が赤く腫れるかで陽性・陰性を判断します。
- 食物経口負荷試験: 医師の厳重な管理のもと、少量ずつ牛乳を摂取し、実際に症状が出るかを確認する検査です。これが最も確実な診断方法とされています。耐性がついたかどうかの確認や、食べられる量を判断するためにも行われます。
自己判断での除去や再開は、正確な診断なく除去を続けると栄養不足になったり、不必要な制限によって生活の質が低下するリスクがあるため、必ず専門医の診断を受けましょう。
牛乳アレルギー=乳製品全般に注意!
牛乳そのものだけでなく、以下の食品も注意が必要です:
- チーズ、ヨーグルト、バター
- 生クリーム、ホエイプロテイン
- 加工食品(パン、菓子、ソーセージ、カレー、インスタント食品など)
【乳】という表示がある食品を確認する習慣をつけ、基本的に避けるようにしましょう。
代替食品の選び方
牛乳の代わりになる飲料・食材はたくさんあります:
用途 | 代替例 |
---|---|
飲料 | 豆乳、ライスミルク、オーツミルク |
調理 | 豆乳・ココナッツミルク・無調整豆乳 |
バター | 植物油・マーガリン(※乳成分不使用のもの) |
チーズ風 | 豆乳チーズ、じゃがいも+にんじん+酢の自家製チーズ風ソース |
✅ 注意:豆乳にもアレルギーがあるお子さんもいます。初めての食品は必ず少量から、できれば医師の指導のもとで行ないましょう。
保育園・学校との連携も大切
- アレルギー対応給食の申請: 園や学校にアレルギー対応の給食があるか確認し、必要な手続きを行いましょう。
- 医師の診断書の提出: 診断書を提出し、お子さんのアレルギーの種類、症状、緊急時の対応などを正確に伝えます。
- 代替メニューの相談: 給食の代替食や、持参するお弁当・おやつについて具体的に相談しましょう。
- 緊急時の連絡体制: 万が一、症状が出た場合の連絡先や対応方法を確認し、関係者間で共有しておきましょう。
周囲の理解と協力を得ながら、子どもが安心して生活できる環境を整えましょう。
牛乳アレルギーは一生続くの?
多くの子どもは成長とともに耐性がつき、3歳~小学校低学年ごろに改善するケースが多いです。ただし個人差が大きいため、定期的な検査や医師のフォローアップが大切です。
まとめ
「牛乳が飲めない」「アイスが食べられない」と制限はありますが、工夫次第で「おいしい」「たのしい」を実現できます。
アレルギー対応のレシピや商品も今は豊富です。
子どもの「食べる楽しさ」を守るのは、家族の愛情と工夫。「何を食べられないか」より「どう工夫して楽しめるか」を大切にしましょう。
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