私たち人間の脳は、なんと受精後わずか数週間でその原型が作られ始めます。
この記事では、胎児の脳がどのようにして形成され、機能していくのかをわかりやすく解説します。
脳と脊髄の原型ができるのはいつから?
脳と脊髄の原型が出来るのは、妊娠4~5週からになります。
受精後7〜8日で、受精卵は3つの細胞層(胚葉)に分かれます。そのうちの外胚葉が、脳・脊髄・末梢神経などの神経系に分化していきます。
妊娠18日頃になると外胚葉が神経板という構造に変化し、妊娠20日頃には神経板がくぼんで神経溝になります。神経溝が筒状に閉じていくことで、約22日~26日目には神経管が完成します。
神経管は、脳と脊髄の“原型”となる非常に重要な構造です。神経管の前方 は 前脳・中脳・後脳に分かれ、後方 は 脊髄に発達していきます。
脳が“働き始める”のはいつ?
脳の活動が始まるのは、妊娠12週頃からになります。
妊娠12週頃になると、脳波のような電気活動が観察されるようになり、超音波検査で確認可能です。
また、胎児は外部からの音や光などの刺激に反応するようになります。これは、「脳が情報を処理し始めている」ことを示しており、すでに学習や記憶の基礎となる活動が始まっていることを意味します。
神経の信号が速くなるのはいつ?
ミエリン形成が始まるのは、妊娠28週以降になります。
ミエリン(髄鞘)とは、神経を包む絶縁物質で、神経の信号伝達を飛躍的にスピードアップさせる役割があります。
妊娠28週頃から神経細胞の周囲にミエリンがつきはじめ、感覚や運動に関わる神経から優先的にミエリンが形成されていきます。
この時期の胎児は、音や光などへの慣れや記憶のような反応(同じ刺激に慣れる)など、学習的な振る舞いを見せることが研究でも報告されています。
まとめ
胎児の脳は、わずか数週間の間に驚くほど複雑で精密な成長を遂げています。
ママの声や音楽、触覚的な刺激も、赤ちゃんの脳の発達にとても大切な意味を持っています。
出産前から始まっている「学びの旅」――
その第一歩を、しっかりと見守っていきたいですね。
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