今回は、子どもの食物アレルギーの中でも年々増加している「小麦アレルギー」についてご紹介します。
パンや麺類、お菓子など日常に広く使われている小麦。もし子どもがアレルギーだったら?「何を食べさせたらいいの?」と不安になることもあるでしょう。
正しく知って、しっかり対策していきましょう。
🌾 小麦アレルギーとは?
小麦アレルギーは、小麦に含まれるたんぱく質(グルテン、グリアジンなど)に対して、体の免疫が過剰に反応してしまう状態です。
乳幼児期に発症することが多く、アトピー性皮膚炎や他のアレルギーを併発しているケースもあります。
症状にはどんなものがある?
食べた後数分〜数時間以内に、以下のような症状が出ることがあります:
- 皮膚症状:じんましん、かゆみ、赤み
- 消化器症状:腹痛、下痢、嘔吐
- 呼吸器症状:咳、くしゃみ、呼吸困難
- 重症の場合:アナフィラキシーショック
小麦を少量口にしただけで反応する子もいるため、完全除去が必要なケースもあります。
診断はどうするの?
病院では、主に以下の検査を組み合わせて診断を行います。
- 血液検査(特異的IgE抗体検査): 小麦たんぱく質に対するIgE抗体の量を測定します。抗体量が多いほどアレルギーの可能性が高まりますが、数値だけで症状の有無や重症度は判断できません。
- 皮膚プリックテスト: 小麦エキスを皮膚にごく少量つけ、針で軽く刺激して反応を見る検査です。皮膚が赤く腫れるかで陽性・陰性を判断します。
- 食物経口負荷試験: 医師の厳重な管理のもと、少量ずつ小麦を含む食品を摂取し、実際に症状が出るかを確認する検査です。これが最も確実な診断方法とされており、小麦を食べられる量を確認するためにも行われます。
自己判断での除去は、栄養不足や誤除去のリスクがあるので、必ず専門医に相談しましょう。
小麦はどんな食品に含まれる?
代表的な小麦を含む食品:
- パン、うどん、ラーメン、ピザ、パスタ
- 醤油、カレールウ、シチューの素
- お菓子(クッキー、ケーキ、ドーナツ)
- 揚げ物の衣(てんぷら・フライ)
【小麦】という表示がある商品は確認する習慣をつけ、すべて避ける必要があります。
小麦の代わりになる食材は?
代替食材をうまく使えば、食事もおやつも我慢しなくて大丈夫です。
小麦の用途 | 代替食材 |
---|---|
パン・ケーキ | 米粉、そば粉、コーンミール |
麺類 | 米粉麺、十割そば(小麦不使用のもの)、ビーフン |
とろみ | 片栗粉、コーンスターチ |
衣 | 米粉、コーンフレーク(小麦不使用のもの) |
✅ 「グルテンフリー」と書かれた商品でも、製造過程で小麦が混入していることがあるので、必ず【アレルゲン表示】をチェックしましょう。
保育園・学校ではどうする?
- アレルギー対応給食制度の利用: 園や学校にアレルギー対応の給食制度があるか確認し、必要な手続きを行いましょう。
- 医師の診断書・生活管理指導表の提出: お子さんのアレルギーの種類、症状、緊急時の対応などを詳細に記した書類を提出し、情報を正確に共有します。
- 誤食防止のための連携: 給食の代替食、持参するお弁当・おやつ、遠足やイベント時の対応について、先生と密に相談しましょう。「うっかり」が命に関わることもあるため、周囲への理解と共有は最も大切なことです。
- 緊急時の対応確認: 万が一、症状が出た場合の連絡体制や対応方法(エピペン®の使用など)を事前に確認し、関係者間で共有しておきましょう。
「うっかり」が命に関わることもあります。周囲への理解と共有がとても大切です。
小麦アレルギーは治るの?
小麦アレルギーは、成長とともに改善する子もいます。特に乳児期発症で症状が軽ければ、3歳~6歳ごろに自然に食べられるようになる場合もあります。
ただし、経過観察や負荷試験は必ず医師のもとで行いましょう。
まとめ
小麦アレルギーがあっても、工夫次第で「おいしい」も「たのしい」も叶えられます。
家族の理解とサポートが大切です。「食べられないこと」より「代わりに何ができるか」を一緒に考えていきましょう。
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