「インフルエンザA型にかかりました」「B型は熱が出にくいらしい」なんて聞いたことありませんか?
実はインフルエンザには A~Dの4つの型があり、流行するのは主にA型とB型。症状や流行時期、感染力に違いがあるんです!
今回は、風邪とよく似ているけれど、症状が重くなるインフルエンザの「型」の違いについて解説していきます。
インフルエンザの型は4種類!
インフルエンザウイルスは、大きく分けて A型・B型・C型・D型 の4つの型に分類されます。
型 | 主な特徴 | 感染力 | 流行の規模 |
---|---|---|---|
A型 | 毎年流行、変異しやすい | とても強い | 世界的な流行(パンデミック)を起こす |
B型 | A型の後に流行、子どもに多い | やや強い | 地域的流行 |
C型 | 軽症、ほぼ子どものみ | 弱い | ほぼ流行なし |
D型 | ヒト感染なし、ウシなどに感染 | なし | 畜産業関係のみ |
A型インフルエンザ:感染力が非常に強く、重症化もしやすい
特徴
A型の特徴は、以下の通りです。
- 最も感染力が強く、世界的に大流行(パンデミック)を引き起こすことがあります。
- ヒトだけでなく、鳥や豚などの動物にも感染する
- ウイルスの変異(型の変化)が多く、新型が出やすい
- 「H1N1」「H3N2」など、HA(ヘマグルチニン)とNA(ノイラミニダーゼ)という2つのタンパクの型でさらに分類されます。
代表的な型(亜型)
- H1N1:2009年の新型インフルエンザ
- H3N2:季節性インフルエンザでよくみられる
毎年のように変化するため、ワクチンも毎年変わります。
症状
A型インフルエンザの症状は、以下の通りです。
- 高熱(38~40℃)
- 全身のだるさ
- 筋肉痛・関節痛などの全身症状が強い
- 急激に発症
流行の傾向
- 冬~初春にかけて(ピークは1月前後)
注意点
- 発症初期が特にしんどいため、無理をしないこと
- 脱水になりやすい(高熱・汗・食欲不振)
- 高齢者や基礎疾患のある人は、肺炎などの合併症に注意
ケアのポイント
- 早期に抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザなど)を服用(発症から48時間以内が効果的)
- 水分・電解質(OS-1やポカリなど)をしっかり補給
- とにかく安静にしてよく寝る
- 食欲がないときは、ゼリー・おかゆ・スープなどの消化の良いものを
- 解熱剤はアセトアミノフェン(カロナール)系が安全
B型インフルエンザ:症状がやや軽く見えやすいため、気づかないことも
特徴
B型インフルエンザの特徴は、以下の通りです。
- A型より変異は少ないが、毎年流行します
- 人間だけに感染
- 主に子どもに多く、A型が落ち着いたころ(1~3月)にピークを迎えることが多いです。(山が2回くるインフル)
- ウイルスの変異は少なめ
症状
B型インフルエンザの症状は、以下の通りです。
- 発熱はA型より少し穏やかでも38℃以上出ることもあります
- 腹痛や下痢など消化器症状が出やすい
- 倦怠感・頭痛などの症状もあり
流行の傾向
- A型が先に流行し、その後にB型が遅れて流行(春頃)するパターンが多い
- 毎年2系統(山形系統・ビクトリア系統)のどちらか、または両方が流行
注意点
- 胃腸症状による脱水に要注意(特に子どもや高齢者)
- 軽く感じて無理をしがちだが、油断すると長引く
- ウイルス排出期間がA型より長いことも(周囲にうつしやすい)
ケアのポイント
- 胃腸にやさしい食事(おかゆ、りんご、味噌汁)を少しずつ
- 食べられないときは、スポーツドリンクや経口補水液で水分補給
- 下痢や嘔吐が強いときは市販薬を自己判断で使わず、医師に相談
- 安静にして、無理に食べたり動いたりしないこと
- 家族にうつさないよう、マスク・手洗い・換気の徹底
C型インフルエンザ:軽症で自然に治ることが多い
特徴
C型インフルエンザの特徴は、以下の通りです。
- 軽い風邪のような症状
- 子どものみがかかることが多い
- 一度感染すると、再感染しにくい
- 大人の感染や集団流行はほとんどなし
- ワクチンや検査の対象には通常ならない
流行の傾向
- 通年ポツポツ
注意点・ケア
- 基本的には特別な治療は不要
- 水分補給と休養で回復する
- 乳幼児の場合は念のため医師の診察を
D型インフルエンザ:動物限定
特徴
- 牛や豚などに感染する型
- ヒトには感染しない
- 畜産業で注目されることがあるが、日常生活での心配は不要です
まとめ
型 | 主な感染対象 | 感染力 | 症状 | 流行傾向 | ワクチン対象 |
---|---|---|---|---|---|
A型 | 人・動物 | 非常に強い | 高熱・全身症状・急激な発症 | 毎年冬に大流行、パンデミックも | ✅ あり |
B型 | 人のみ | やや強い | 胃腸症状・倦怠感・やや軽めの発熱 | A型の後、春先に流行 | ✅ あり |
C型 | 子ども中心 | 弱い | 軽い風邪程度 | 通年、ごく少数 | ❌ なし |
D型 | 動物(牛・豚) | なし | 人には無症状 | 畜産関係のみ | ❌ なし |
インフルエンザの「型」の違いについて紹介しました。
毎年打つワクチンも、「型の違い」が関係しています。
実際の流行に合わせて、「A型のH1N1とH3N2、B型の山形・ビクトリア型」などを組み合わせて製造されています。
風邪との違いがわかりにくいインフルエンザだからこそ、「あれ?風邪っぽいけど、ちょっと様子が違う…」と思ったら無理せず早めに受診してもらいましょう。
コメント