「のどが真っ赤で痛い」「高熱だけど咳や鼻水が出ない」
そんな症状が出たら、A群溶連菌感染症の可能性があります。
特に子どもに多い感染症ですが、大人にも感染することがあり、まれに重症化することもあるため、注意が必要です。
A群溶連菌とは?
A群溶血性レンサ球菌(GAS: Group A Streptococcus)は、のどや皮膚に感染する細菌で、非常に感染力が強く、集団生活の場で流行することがあります。
- 主に「のど(咽頭)」に感染
- まれに皮膚や体内に入り込み重症化することも
A群溶連菌感染症の主な病型と症状
A群溶連菌は感染部位によってさまざまな症状を引き起こします。
① 咽頭炎(溶連菌性咽頭炎)★もっとも多い
- のどの強い痛み
- 38〜40℃の発熱
- 扁桃腺の腫れと白い膿
- 首のリンパ節の腫れ
- いちご舌(舌が赤くてブツブツ)
- 食欲不振、倦怠感
※咳や鼻水が出にくいのが特徴。
② 猩紅熱(しょうこうねつ)
- 咽頭炎に全身の赤い発疹が加わる
- 熱が下がったあと、手足の皮がむける
- 舌が真っ赤になる(いちご舌)
③ とびひ(伝染性膿痂疹)
- 傷や虫刺されから感染して水ぶくれやかさぶたに
- 顔や手足に広がることが多い
- 特に夏場や幼児に多い
④ 重症型:劇症型溶連菌感染症(STSS)
- ごくまれだが、菌が血液や深部組織に侵入し急激に重症化
- 発症から数時間でショックや多臓器不全に陥ることも
- 傷口、虫刺され、水虫からでも起こりうる
A群溶連菌感染症の感染経路
- 飛沫感染:くしゃみや咳などで空気中に飛び散った菌を吸い込む
- 接触感染:感染者の皮膚、タオル、ドアノブなどを介してうつる
※学校・保育園・家庭内での集団感染が多い
A群溶連菌感染症のかかりやすい人は?
- 最も多いのは5〜15歳の子ども
※ただし、大人でも感染することがあり、重症化のリスクもあります。
A群溶連菌感染症の診断方法
- のどの赤みや発疹などの視診
- 迅速検査キット(のどをこすって調べる):5〜10分程度で結果が出る
A群溶連菌感染症の治療法
✔ 抗生物質(抗菌薬)の内服
- ペニシリン系(アモキシシリンなど)が第一選択
- 10日間しっかり飲み切ることが重要!
※症状が治まっても、薬を途中でやめると再発・合併症のリスクが上がります。
A群溶連菌感染症の合併症に注意!
治療せず放っておくと、以下のような合併症が起こることがあります:
- リウマチ熱(心臓や関節の炎症)
- 急性糸球体腎炎(血尿やむくみを起こす)
- 中耳炎・副鼻腔炎
A群溶連菌感染症の出席停止の扱い(学校・保育園)
文部科学省の指針により:
「抗菌薬による治療開始後24時間経過し、かつ全身状態が良好であれば登校可能」とされています。
(ただし、医師の指示を優先)
A群溶連菌感染症の家庭での予防・注意点
- こまめな手洗い
- くしゃみ・咳はマスクでカバー
- タオルや食器を家族で共有しない
- 発症者がいる場合は、家族内にも感染の可能性があるため注意
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
原因菌 | A群溶血性レンサ球菌 |
主な症状 | のどの痛み・高熱・発疹・いちご舌 |
主な病型 | 咽頭炎、猩紅熱、とびひ、STSSなど |
感染経路 | 飛沫・接触 |
治療 | 抗菌薬(10日間) |
予防法 | 手洗い・マスク・共用物の管理 |
のどの強い痛み+高熱で咳が出ない場合は、A群溶連菌を疑いましょう。
早期治療でほとんどが回復しますが、薬の飲み切りと合併症のチェックが大切です。
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