2024年1年間で産まれた日本人の子どもの数は68万6061人と厚生労働省の調査で分かりました。統計を取り始めた1899年以降70万人を下回ったといいます。
では、なぜここまで子どもが生まれなくなってしまったのでしょうか?
このままでは日本の未来が危うくなると多くの専門家が警鐘をあげている「少子化」について、少し考えてみたいと思います。
少子化の主な原因
少子化の背景には、いくつかの大きな要因があります。
今回は大きな要因を3つあげて解説していきます。
- 経済的不安
- 働き方とワークライフバランス
- 結婚観・家族観の変化
1. 経済的不安
若い世代は将来に対する不安が大きく、結婚や子育てに踏み出せないという声が多く聞かれます。非正規雇用の増加、住宅費・教育費の高騰も子育てへのハードルを上げています。
2. 働き方とワークライフバランス
長時間労働や育児との両立の難しさも問題です。特に女性が出産後も働き続けるためのサポートがまだまだ不十分です。男女共に家庭と仕事を両立できる環境整備が求められています。
3. 結婚観・家族観の変化
「結婚=幸せ」「家族を持つのが当たり前」といった価値観が変わり、結婚しない・子どもを持たないという選択が一般的になってきました。個人の自由が尊重される一方で、社会全体としての出生数は減少しています。
少子化への対策
では、少子化への対策として私たちにできることは何でしょうか?
政府や自治体が打ち出している対策について6つ解説していきます。
- 経済的支援の拡充
- 保育・教育環境の整備
- 働き方改革の推進
- 結婚・出産の支援
- こども家庭庁の創設(2023年4月〜)
- その他の政策動向(今後の予定を含む)
1.経済的支援の拡充
出産・育児一時金の増額、子ども手当の充実、学費無償化など、経済的負担を軽減する政策です。
児童手当の拡充(2024年10月〜)
- 中学生までだった支給対象が**高校卒業まで(18歳)**に拡大
- 所得制限を撤廃(すべての家庭が対象に)
- 第3子以降は月額3万円に増額
- 第一子・第二子は1.5万円(3歳未満は一律1.5万円)
出産育児一時金(2023年から引き上げ)
- 出産時に支給される一時金:**50万円(原則)**に引き上げ
- 医療機関の費用と連携した「直接支払制度」で実費負担を軽減
高校授業料無償化(公立高校)
- 公立高校の授業料は無償、私立も所得制限付きで助成あり
2.保育・教育環境の整備
待機児童の解消や、保育士の待遇改善、地域ぐるみで子育てを支える仕組みづくりが求められています。
幼児教育・保育の無償化(2019年〜)
- 3〜5歳のすべての子どもの保育料は無償
- 0〜2歳児も、住民税非課税世帯は保育料が無償
待機児童対策
- 保育士の処遇改善、施設拡充で待機児童数は大幅減少
- 2023年には全国の待機児童数が約3,000人以下まで縮小
3.働き方改革の推進
男女ともに育休を取りやすくし、時短勤務やテレワークの普及など、柔軟な働き方を推進することで、子育てとキャリアの両立が可能になります。
育児休業制度の拡充
- **育児休業給付金(67%→50%)**が最大1年(最長2年)支給
- 2022年〜「産後パパ育休制度」が開始
- 出産後8週間以内に、最大4週間の特別な育休を取得可能
- 柔軟な分割取得(2回まで)も可能
男性の育休取得促進
- 企業に対し、育休取得意向の「個別確認と説明」が義務化(2022年〜)
- 政府目標:男性育休取得率を**2025年までに50%、2030年に85%**へ
4.結婚・出産の支援
結婚新生活支援事業(自治体補助)
- 住居費や引っ越し費用などを最大60万円まで補助(世帯年収条件あり)
- 対象年齢は39歳以下の新婚カップル(自治体ごとに異なる)
不妊治療の保険適用(2022年〜)
- 特定不妊治療(体外受精・顕微授精)が保険適用に
- 自己負担が大幅に軽減され、治療へのアクセスが改善
5.こども家庭庁の創設(2023年4月〜)
- 子ども政策を一元的に担当する「こども家庭庁」が発足
- 少子化対策・児童虐待・教育・子どもの権利保護などを包括的に管轄
- 首相直轄の「こども未来戦略会議」で方向性を継続的に協議
6.その他の政策動向(今後の予定を含む)
政策 | 概要 |
---|---|
子ども・子育て支援金制度(2026年施行予定) | 医療保険料を通じて集めた財源を、子育て施策に充てる新制度 |
高等教育の給付型奨学金の拡大 | 所得制限を緩和し、対象世帯を拡大 |
地方での子育て支援モデル都市の育成 | 地域ごとの「子育て先進エリア」を国が支援 |
まとめ
少子化は一人ひとりの生活や価値観と深く関わっています。「誰かの問題」ではなく、社会全体で向き合うべき課題です。
大切なのは、「結婚したい」「子どもを持ちたい」と思えるような社会の雰囲気づくりやそれを実現できる社会であることが大切です。
また、教育やメディアを通じて家庭を持つことの魅力を発信していくことも一つの方法ですね!
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