「赤ちゃんが小さく生まれてきたけど、大丈夫かな?」
そんな不安を感じている方へ。この記事では、「未熟児(低出生体重児)」について、原因・成長の特徴・育て方の注意点などをやさしく解説します。
未熟児とは?~出生体重で分類される赤ちゃんたち~
未熟児とは、生まれたときの体重が2,500g未満の赤ちゃんを指します。現在の医療では「低出生体重児」と呼ぶことが一般的です。
種類 | 出生体重の目安 |
---|---|
低出生体重児 | 2,500g未満 |
極低出生体重児 | 1,500g未満 |
超低出生体重児 | 1,000g未満 |
こうした赤ちゃんはNICU(新生児集中治療室)で手厚いケアを受けながら育っていきます。
🔶なぜ未熟児になるの?
赤ちゃんが未熟児(低出生体重児)として生まれる背景には、さまざまな要因があります。それぞれの原因をもう少し詳しく見てみましょう。
1. 早産(妊娠37週未満)
本来、赤ちゃんは妊娠40週ごろ(予定日)に生まれるのが理想です。しかし、妊娠37週未満で生まれることを「早産」と呼びます。
早く生まれることで、お腹の中での成長が不十分となり、体重が小さいままでの出産となることがあります。
主な原因:
- 妊娠高血圧症候群や糖尿病
- 子宮頸管無力症(子宮口が早く開いてしまう)
- 感染症(細菌性膣炎など)
- ストレスや過労、喫煙などの生活習慣
早産は、突然起きることもあり、予防や早期発見がとても重要です。
2. 胎児発育不全(FGR:Fetal Growth Restriction)
胎児発育不全とは、妊娠週数に比べて赤ちゃんが極端に小さい状態を指します。
胎盤や子宮に十分な血液や栄養が届かないと、赤ちゃんはお腹の中で大きくなれません。
主な原因:
- 胎盤機能の低下(胎盤早期剥離など)
- お母さんの持病(高血圧、糖尿病、腎疾患など)
- 母体の栄養不良や喫煙
- 赤ちゃん自身の先天的な病気や染色体異常
FGRの赤ちゃんは、体重が少ないだけでなく、酸素や栄養不足の影響で出産後も注意が必要なことが多いです。
3. 多胎妊娠(双子・三つ子など)
双子や三つ子など、複数の赤ちゃんを妊娠している場合は、1人あたりに届く栄養やスペースが限られてしまい、体重が小さくなりやすくなります。
特に注意すべきこと:
- 妊娠期間が短くなる(早産リスクが高い)
- 胎児間輸血症候群などの合併症の可能性
- 帝王切開の確率が高くなる
医療機関では、多胎妊娠の場合は早めにハイリスク妊娠として管理されることが多くなります。
🔶未熟児の赤ちゃんは大丈夫?
● 医療の進歩で予後は良好に
以前は1,500g未満で生まれると命に関わるケースも多くありましたが、現在ではNICU(新生児集中治療室)でのケアの進歩により、超低出生体重児(1,000g未満)でも元気に成長する赤ちゃんが増えています。
小さく生まれても、適切な医療とサポートを受けながら、健やかに育っていく子どもはたくさんいます。
● 注意したい合併症
未熟児の赤ちゃんは、臓器や免疫の発達が未完成なため、以下のようなリスクが高くなります。
主な合併症:
- 呼吸障害(呼吸窮迫症候群):肺が未熟で自力呼吸が難しい
- 感染症:免疫が弱く、風邪や細菌感染にかかりやすい
- 栄養不足:哺乳力が弱く、経管栄養(チューブでの授乳)が必要なことも
- 脳出血:未熟な脳の血管が破れやすく、まれに後遺症を残すことがある
- 未熟性網膜症:目の網膜の血管が未完成で、視力への影響が出ることも
これらのリスクを最小限に抑えるためにも、NICUでの管理と、退院後の発達フォローが重要です。
🔶未熟児の成長と発達は?
● 成長ペースは「修正月齢」で見る
未熟児の発達を見るときには、「生まれた日」ではなく、「予定日」を基準にした修正月齢で判断します。
例:妊娠32週(約2か月早く)で生まれた場合、生後6か月でも修正月齢は「4か月」と考えて発達を見守ります。
小さく生まれた赤ちゃんは、最初は同月齢の赤ちゃんと比べるとゆっくりなペースで成長しますが、1~2年ほどで追いつく子も多いです。
● 発達の個人差が大きい
未熟児の赤ちゃんは、発達に関して以下のような傾向が見られることがあります。
- 首すわりや寝返りが遅い
- 言葉の出始めがゆっくり
- 刺激に敏感で泣きやすい・眠りが浅い
こうした特徴が見られても、すぐに心配する必要はありませんが、「いつもと違うな」と感じたときは、早めに専門家へ相談するのがおすすめです。
🔶未熟児の育児で気をつけること
✅ 感染予防
未熟児は免疫力が弱く、風邪やウイルス性の病気にかかると重症化するリスクがあります。
- 外出は生後しばらくは控える(特に流行期)
- 家族や来客も手洗い・マスク・消毒を徹底
- **RSウイルス予防のための「シナジス注射」**を医師と相談することも大切です
成長記録をこまめに
体重・身長・授乳量・おむつの回数など、毎日の変化を記録することで、小さな異変にも気づきやすくなります。
記録のコツ:
- 母子手帳や育児ノート、アプリを活用
- 「昨日と比べてどうか?」を見る習慣をつける
- 発達の区切り(首すわり、寝返りなど)をチェックする
不安なときは相談を
未熟児育児では、不安を抱え込まず、専門家の力を借りることがとても大切です。
相談できる場所:
- 小児科・フォロー外来:定期検診や発達チェックを受けられる
- 保健センター・保健師:家庭訪問・発育相談・育児アドバイス
- 児童発達支援センター:発達が気になるときの療育やサポート
🔶まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
未熟児になる原因 | 早産、胎児発育不全、多胎妊娠など |
注意点 | 合併症への対応・感染予防が重要 |
成長の見方 | 修正月齢で評価し、個人差を理解する |
サポート | 小児科や保健師、発達支援の活用を |
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